セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争の感想・書評
ゲーム好きにはたまらない書籍を読みました。
セガ対任天堂。
タイトルからして読まずにはいられないですよね。
アメリカで高評価を獲得、映画化も決定のこの本のレビューを書いてみました。
著者について
ブレイク・J・ハリス
ニューヨーク在住の作家・映像ディレクター。
ジョージタウン大学卒業。
デビュー作である本書(2014年)は、NPR(全米公共ラジオ放送)、《パブリッシャーズ・ウィークリー》、《スレート》ほか各種メディアで年間ベストブックに選ばれ、絶賛を浴びる。
本書に基づくドキュメンタリー映画で共同監督(スコット・ルーディン、セス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグがプロデュース)、ソニー・ピクチャーズ版でもエグゼクティブ・プロデューサーを務める予定。
あらすじ
弱小企業セガは、巨人・任天堂をいかにして打ち破ったのか?
ソニー・ピクチャーズ映画化予定の傑作ビジネス・ノンフィクション!
1990年、任天堂はアメリカにおける家庭用ゲーム機市場の90%超を握る圧倒的な存在だった。
一方、セガは大いなる野心を秘めた注目株だったものの、アーケードゲーム専門の中小メーカーにすぎなかった。
だが、トム・カリンスキーがセガ・オブ・アメリカのCEOに就任したのを機に、潮目が変わりはじめる―。
「チーム・カリンスキー」が次々に繰り出す常識破りの奇策は、セガと任天堂の間に莫大な収益をめぐる「仁義なき戦い」を引き起こした。
ソニックとマリオ、日本とアメリカがにらみ合い、家庭から米連邦議会に至るまで、あらゆる戦場で繰り広げられた激闘の行方は?
600億ドル産業を生み出した企業戦争の内幕に、200人を超える取材で迫る痛快群像ノンフィクション。(「BOOK」データベースより)
感想
今現在、家庭用ゲーム機というと、プレイステーション4のソニー、エックスボックスのマイクロソフト、そしてスイッチが好調な任天堂の3社ですが、かつてはSEGAもこの業界に参入していましたね。
ぼくも昔セガサターンで遊んでいました。
この本は90年代初頭、アメリカを席巻していた任天堂に戦いを挑んだセガのストーリーです。
ノンフィクションなんですが、小説のような物語が展開され、ぐいぐい引き込まれます。
セガのアメリカ現地法人の社長カリンスキーが斬新なアイデアで任天堂に戦争をしかけます。
ソニックを使ったキャラクター展開、価格の見直し、CM攻勢などなど次々と仕掛けを考え出すものの、日本のセガ本社はそれらの案に乗り気ではない。
ついには本社の意向に背いて対立するまでに。
読んでいくと日本のセガの無能っぷりにはため息が出ます。
典型的な日本人の保守的なマインドの企業という感じ。
もう少し柔軟に、リスクをとる冒険的な経営をしていたら。
そうすれば今も任天堂、ソニーと互角にやり合えていたかもしれない。
なんて思ったりもします。
もちろんアメリカ人の作者がアメリカ側の視点で書いているので、そこは差し引いて読む必要はあると思いますが。
他にも物語色を強くするためか、少し大げさな描写や脚色されているような部分もあります。
ただ、あくまで創作ではなくノンフィクションの範囲内のことなので、それも含めて面白く読みました。
ゲーマーはもちろん、単純に読み物としておもしろいので、万人におすすめの1冊です。